至適でない条件下において、制限酵素の基質特異性が変化したり特異性がゆるんだりすることがある。この変化した特異性における反応性をスター活性(star activity)と呼ぶ。「スター」の由来は文献12。
5%(v/v)以上のグリセロール濃度によってスター活性が誘起されることがある。 制限酵素の保存溶液は、凍結、変性、凝集を防ぐためにかなり高濃度(50%)のグリセロール溶液である。そのため、反応液量は制限酵素原液の10倍以上であることが望ましい。
切断するDNA量に対し、制限酵素の量が極端に多い場合にスター活性が誘起されることがある。 (制限酵素の種類によるが、100 units/ug以上)
(制限酵素に付属するバッファーの場合は問題ない。) 25mM以下のイオン強度の場合、スター活性が誘起されることがあるので、自作バッファーを使用する場合に注意する。
(制限酵素に付属するバッファーの場合は問題ない。) pHが8.0以上の場合、スター活性が誘起される制限酵素がある。反応液のpHが極端に異なる場合は一度エタ沈。(70% EtOH aq.)
DMSO、エタノール、エチレングリコール、ジメチルアセタミド、ジメチルフォルムアミド(DMF)などの有機溶媒存在下、スター活性が誘起されることがある。
(制限酵素に付属するバッファーの場合は問題ない。) TypeIIの制限酵素は切断反応の補因子としてMgイオンが必要だが、Mgイオン以外の金属イオン(Mn2+, Cu2+, Co2+, Zn2+)が配位した場合にスター活性が誘起されることがある。