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アナボリックステロイド [2013/06/09 09:07] (現在)
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 +======アナボリックステロイド (Anabolic Steroids) ======
 +アナボリックステロイドは、[[テストステロン]]様の構造で筋肉増強剤として使用されている。このステロイドには、男性ホルモンとしての役割(胚の成長・分化への作用や思春期のテストステロン濃度の上昇)と、同化作用(筋肉中のタンパク質合成・血球の生成・性機能の形成)がある。
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 +通常は、テストステロンを経口摂取しても肝臓で分解されて血液中に入ることはないが、化学合成によって得られる誘導体の中には分解されずに血中に入り、タンパク質同化作用を示すものがある。
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 +===== テストステロンの作用 =====
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 +==== 1. 合成~循環~膜通過 ====
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 + テストステロンは睾丸で合成されて血液によって身体を循環する。ほとんどのテストステロンは[[血清アルブミン]]の中に弱く結合した状態で存在しており、細胞膜に近づくと脂質膜を直接通って細胞内に入る。
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 +{{pdb>​fullSmall:​1d2s}}
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 +==== 2. 酵素による変換 ====
 + 細胞内に入ったテストステロンは、細胞内の酵素によって活性の高い[[ジヒドロテストステロン]]に変換される。
 +{{pdb>​fullSmall:​1xf0}}
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 +この酵素反応を阻害する化合物は、ジヒドロステロンの生成を抑えるため、前立腺肥大や前立腺がんの治療に用いられる。また、この薬の「副作用」として抜け毛の抑制や発毛が見つかり、処方箋の必要な育毛剤として販売されている((日本では2005年にプロペシアが厚労省認可を得た))。
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 +==== 3. 核内レセプターと結合~発現制御 ====
 + さらに核膜を通過して核内の[[アンドロゲンレセプター]]に結合することで、染色体上のさまざまな遺伝子の発現制御を行い、同化作用やアンドロゲン活性を促す。
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 +{{pdb>​fullSmall:​2am9}}
 +{{pdb>​fullSmall:​2amb}}
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 +====== References ======
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 +  *D. H. Catlin (2006) Anabolic Steroids. Chapter 176 in the textbook: Endocrinology,​ edited by DeGroot and Jameson, Elsevier.
 +  *C. Saudan, N. Baume, N. Robinson, L. Avois, P. Mangin and M. Saugy (2006) Testosterone and Doping Control. Journal of Sports Medicine 40(supplement 1), i21-i24. ​
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 +======Links======
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 +  *[[mom>​92|Anabolic Steroids]] - RCSB '​Molecule of the Month'
 +  *[[テストステロン]]
 +  *Pubmed x LSD総説検索
 +    *[[pubmedlsd.rev>​Androgens|アンドロゲン]]
 +    *[[pubmedlsd.rev>​Anabolic Agents|タンパク質同化薬]]
 +    *[[pubmedlsd.rev>​Testosterone|テストステロン]]
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 +{{tag>​PDB ステロイド ホルモン}}